1/9 傾
おや?
傾きよるわ傾きよるわ。
こんなところに、傾奇きに傾奇いた「駐車禁止」「30㎞/h制限」があります。
「停車してみろよ」「30も出せねえのか」と、いかにも挑発的です。
昨日は雪でしたし、どこぞの不注意者がぶつけてしまったのかな?
ところで、私はかねがね交通標識に触ってみたいとおもっていました。
これほど毎日目にするにもかかわらず、
ほとんど触ったことのある人がいないというのも奇妙なことです。
日常の風景を疑いもなく甘受するだけの、
自動運転の様な日々に身を任せてばかりいてはいけません。
好奇心が通勤路を出会いの場に変えるのです。
これほどのチャンス、逃すわけにはいかないっ!
触ってやるっっ!
ざらざらしている。
あと汚い。
こうしてみるとフリスビーの様にも見えますね。
あたたかな陽光が、私と駐車禁止を照らします。
「それぐらい俺も届くよ?」などとぬかすヲタクノッポ君を論破するために、
さらに上の30㎞/h制限にも手を伸ばします。
冬の冷気をまといながらも、陽の暖かさも感じさせます。
普段のたたずまいから感じる完全なる無味さとは程遠い、
親しみすら覚える感触です。
アメコミヒーローの様な色合いを持ちながら、自らは主張せず、
日常、背景に溶け込んでいることに驚きすら覚えます。
この気付きも、己が手で触れることなくしては得られるものではなかったでしょう
交通標識を静かに捻じ曲げる達人と勘違いされてしまったかもしれませんが、
こればかりは仕方ありません。
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満足いたしました。
通常生きていれば出会えない機会、巡り合えたことに感謝ですね。
〈夜〉
あれ、もう戻ってる?
日中の傾が嘘のように、無機質に直立しています。
あれは、白昼夢だったのか...?
ウッッ...!?
何だ...?
あ、、
あァ、阿ぁ、、、
ひっ
きぃぃぃぃぃぃっぃぃぃぃいっぃいぃぃぃぃぃ、