1/22 煮豚
休日には珍しく早起きをした。
煮豚を、作るためである。
煮豚は時間がかかる。一人暮らしではなんとなくハードルを感じて、今まで挑戦したことはなかった。
そんな私をして、煮豚を作ろうと決意せしめたもの。
「沖縄そば」である。
先日楽天の買いまわりで調子に乗って買ってしまった。もともと沖縄そばは好きなのだ。ラーメンはあっさり派であるし、沖縄そばのシンプルな鰹出汁は大変好ましい。
そんな軽い気持ちで注文した沖縄そばだが、到着してみて初めて気付いたのだ。
「乗せる具はどうするのか?」
普段インスタントラーメンではお構いなしにもやし炒めを満載する私だが、折角通販で購入した沖縄そばでそれをやるのは気が引ける。買いまわりで舞いあがりきったこの期待に贖うものが、一袋23円のもやしで良いはずがない。
もやしはテトリスの長いやつと一緒だ。それだけ降ってくるなら手軽にマスを埋められるかもしれないが、誰もそんなパズルはしない。これしかないというハマり具合。Tスピンの為に人はパズルをするのだ。
さて、沖縄そばの具材といえば、かまぼこ、小ネギ、煮豚の3点に如くは無し。中でも煮豚は、端正な鰹出汁にアタックとボリュームを加える重要な存在。なんとしても乗せねばならない。
となったらさ、
作るしかないでしょうが、
この手で、完璧な煮豚をなあ!?
御託はもういいってんだよ!!
以上のようなことを金曜日の仕事中に考えた私は、帰り道に必要な材料を買い揃え翌朝を待ったのである。
※以下、汚いキッチンが写りますが、これが生活者のキッチンです。キッチンがきれいな奴は自炊をしないロリコンです。本当です。
さ〜〜〜〜〜〜て
作るとするかいのう!
まずはこちらの、3割引だった豚肉に焼き目をつけて、ネギの頭と生姜と一緒に煮込みます…
生姜は?
あれ?昨日買ったよな、生姜。冷蔵庫かな、あれ……?
畜生!!
はいはい、買ってきましたよ。どこいったんだ昨日買った生姜は。
気を取り直して、肉を焼いていきましょう。
ひょ〜〜〜〜〜
ひぇ〜〜〜〜〜
ひょひゃひょひぇあい〜〜〜〜〜
オラオラオラオラ〜〜〜〜〜
ショーガショーガ
煮込んでいきましょう。
このまま1時間煮込みます。少し休憩ですね。
1時間経ちました。「秋」という感じの色遣いになってます。
あとは肉を切って、
醤油、料理酒、砂糖を加えて煮込んでいきまs......あれ?
砂糖は?
砂糖はまだ残ってたはずでしょ?
ん?
くそったれ!!!
なかなか甘くないってことね...
今度こそ煮込んでいきます。このまま30分、さらに火を止めて20分以上待ちます。この日はお昼から用事があったので、火を止めて出かけました。時間に余裕をもって早起きしたはずなのに、なぜかもう11時を回っている。1時間以上肉を見つめ続けていたというのにお昼を食べている時間すらないとは...
帰って来た。
玄関を開けた途端肉を焼いたにおいがあふれだし、「鉄と肉の灼けるにおいだ...」と自然とつぶやいてしまった。しかし私を待っているのは干し肉ではなく、煮豚。煮豚が待っているという事実は無条件で私を肯定してくれる。
さて、肉はある。あとはもう麺を茹でて盛り付けるのみ。
こちら!!
うわー!!
これこれ~~~!!!
さっぱりした出汁と、しゃきしゃきの小ネギ。
そして何よりこの濃ゆい煮豚。
美味しい!!!!
ロース肉なので脂身少なめですが、繊維がほぐれてうまみが染み出します。
1時間半の甲斐、あり!
【後日】
「生姜も、砂糖も、あるんだよ」